第22章 呪い合い、殺し合い、
ようやく朝日が昇り、ひとまず呪霊がおとなしくなったのを見計らって救助した軍人達に呪霊が出てきたら既に捕縛している術師達に協力を仰ぐように言い含め、彼らの拠点に戻るよう指示する。
捕まえた術師が素直に軍人の要求を聞き入れるかは怪しいが、そこは彼らの交渉能力次第であり、そこまではさすがに面倒見切れないというのが本音だった。
せめて呪霊の数は減らそうと探し回る中、来栖が離れたタイミングを見て伏黒がなずなに声を掛けた。
「なずな、ちょっと話せるか?」
「うん、どうしたの?」
ちなみに高羽は気を利かせたつもりなのか、いつの間にか姿を消している。
別に高羽には聞かれてもいい話なのだが……
いなくなった高羽のことはとりあえず気にせずに駆け寄ってきたなずなに昨夜の虎杖のことを話した。
「天使の言ってた“堕天”、あれは宿儺のことらしい」
「えっ!?」
「ホテルで虎杖が変な動きしてただろ」
それはそうだが、なずなはまだ戸惑っていた。
「で、でもあれって“堕天”のことだったの?……その、答えを聞いてもまだあのジェスチャーが判らなくて……」
「俺も分からねぇけど、わざわざ来栖と場所を交代したこと、その上来栖に聞かれないように声に出さずに伝えようとしたから天使に聞かれたくなかったんだと思う」