第22章 呪い合い、殺し合い、
険悪になる雰囲気の中、なずながおずおずと来栖に尋ねた。
「……あの、天使さんはああ言ってますけど、来栖さんはどうですか?軍人さん達を助けるのは無意味だって思いますか?」
「天使の言う通り既にこの結界が儀式に必要な呪力で満たされているのなら、何をしても儀式は止められません」
その冷静な声になずなは俯くしかない。
やっぱり来栖さんも……
だが、来栖の答えはこれで終わりではなかった。
「ですが、人助けが無意味とは思いません」
「それじゃあ……!」
「私も協力しますよ」
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呪術師の捕縛任務のため、真夜中に結界に侵入した軍人達は訳も分からぬまま呪霊の餌食となっていた。
夜は呪霊のホームグラウンド。
そして襲われている彼らが持っている武装では呪霊を傷つけることさえ叶わない。
ここでもまさに軍人が釣り餌の如く巨大な釣り針に刺し貫かれ、魚型の呪霊が無数に潜む場所に吊るされていた。
それに魚の呪霊が喰らいつくと上で釣竿を持っていた呪霊が釣り上げ、背後に落とす。
すると走り回っていた巨大なネズミ頭の呪霊が目の色を変えて魚型の呪霊に群がり、釣り餌ごと貪った。