第22章 呪い合い、殺し合い、
伏黒が玉犬・渾を出したのを見ていち早くその意図を理解した虎杖となずな。
伏黒と渾が飛び出すと同時に制圧にかかる。
銃口を向けられるが、すぐに渾が銃身を噛み砕いた。
軍人達には渾が見えないため、なぜ構えたそばから銃が破壊されるのか分からず、何が起こったのかと狼狽えている。
その隙に3人は次々と軍人達を拘束していった。
中にはなずなを見て銃口を向けるのをわずかにためらう者もいたが、容赦すればこちらが危ないので区別なく拘束する。
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10人程の小隊の全員を拘束するのにさほど時間はかからなかった。
落ち着いて確認すると、ほとんどが白人、加えて英語を使っていることから英語圏の軍人であることが窺える。
英語で尋問する必要があるのか……
その上、授業で勉強した程度の英語で真実を答えるか怪しい相手の嘘や隠し事を見抜くのも難しいし、そもそも知らない単語で答えられたらそれが真実かどうかも分からない。
「……ちなみに渡辺って英語得意?」
「英文なら多少、だけど英会話はあんまり自信ない……」
「俺、テストじゃ50点も取ったことねーよ。どうしよ?」
「う、うーん……」
こんな所で言葉の壁にぶつかり、虎杖達は半ば諦めモードになっていたのだが、
「ソイツらに聞くよりこっちに聞いた方が確実そうだぞ」
伏黒が物陰に隠れていた男を引きずってきた。
眼鏡をかけたその男は1人だけ服装が異なり、ほとんど武装していない。
顔立ちも日本人のそれだ。
渾に匂いを追わせて見つけたのだが、伏黒を目にするや日本語で「命だけは助けてくれ」と命乞いしてきた。