第22章 呪い合い、殺し合い、
状況が動いたのは5人がホテルのラウンジに出た時だった。
エントランスに出ようとラウンジを駆け抜けていくと、背後の通路から何かが投げ込まれる。
カンッと床に当たった音を聞いた虎杖がそれを視認する前に反射的に蹴り返した。
すると空中で強烈な音と光が炸裂する。
スタングレネードだ。
咄嗟にソファの陰に隠れフードを引き上げて耳を覆ってやり過ごす。
前を走っていた伏黒達もその音と光に振り向くと廊下から隊列を組んで入ってくる男達が見えた。
全員揃いのヘルメットと防弾ベストを着け、銃で武装している。
「!?」
結界に侵入した非術師の正体は軍人!?
しかも武装や背格好から自衛隊じゃない!
何が目的だ?
結界の中の人間の保護か?
なら何故さっきスタングレネードを投げてきた?
伏黒が口を開く前に銃口が火を噴くのが見え、咄嗟に柱に身を隠す。
タタタタと軽い音と跳弾する音。
見える範囲で周囲を確認すると、虎杖はソファをバリケードにし、なずなと来栖も自分と同じように柱に隠れている。
なぜか高羽だけはコサックダンスで銃弾をすべて避けていた。
撃ってきやがった……
保護の線はなしか……
「直接聞くしかねぇな」
伏黒は頭を切り替え、手で影絵を作る。