第22章 呪い合い、殺し合い、
迷いのない虎杖の目を見てその意図を察した伏黒は奥歯を噛み締める。
天使の要求を満たすことも問題だが今一番の問題は……
虎杖が自ら命を投げ出すこと……!
―やめろ―
―当たり前のように受け入れるな。無かったことににするんじゃねぇ―
―俺は人を殺した!俺のせいで大勢死んだんだぞ!!―
死滅回游での目的を達した今、虎杖は進んで命を捨ててしまう。
それと引き換えに天使が五条先生の封印を解くのなら尚更だ。
そんなことはさせねぇ。
なずなの表情を窺うとまだ虎杖の意図には気づいていないようだ。
早く彼女にも伝えて虎杖の自死を阻止する手段を考えなければ。
「……妙だ」
突然話題を切ったかと思うと、天使が怪訝そうに言った。
「凄い数の人間が結界に侵入している」
「!!」
「分かるのか?」
伏黒が聞き返すと天使はこれを否定した。
「私じゃない。コガネ!」
「はい」
瞼を閉じた楚々としたコガネが現れる。
虎杖達に憑いているコガネとは態度が大違いなのは個体差なのか、何なのか。
「10分前から増加した泳者の数を出してくれ」
指示を受け、コガネの腹部にその数字が出てくる。
「あ?」
「え……?」
「おー?」
その表示に一同は驚くしかなかった。