第7章 エピローグ
みんな強い呪術師になってね。知らない間に見えなくなってしまった彼らに未亜はそっと願いを込めた。
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2018年、この年は呪術界でも色んな案件が起きていた。悟の話をそのまま引用すると火山頭の特級と植物野郎の特級が徒党を組んでいるらしい。
そこに加えてつぎはぎ特級が、術式で魂をあやつり改造人間を作るんだとか……。
そもそも宿儺の器になっている虎杖くんも引き続き注意しながら見てあげないといけない生徒だ。なんだか呪霊の力が日に日に増してきている気もする。
こんな時に結婚なんていいんだろうか? もう少し落ち着いてからの方がいいのでは? と悟に問いかけたが、「君の場合、ここを逃したら巡り合わせはまた4年とか5年でしょ? 待ってらんないよ」と言われ、反論する言葉もなく婚姻の運びとなった。
心配していた未亜家と五条家の因縁も、悟の鶴の一声もあってか、ほとんど騒ぎ立てる人たちはおらず、むしろ500年に一度の巡り合わせだと喜ばれた。
禅院家や加茂家はこれで御三家に差がついては困ると少し怪訝そうにしているご長老の方もおられたが、
「あんまり心配すると体に悪いよー。心配しすぎておじいちゃんがそのまま死んじゃったら本家は困るんじゃない? あ、困らないか」と悟が茶化し、そんな悟に煙たい顔をしながらもお祝いしてくれた。
ちょうど術師にとって忙しい時期に差し掛かっており、式は形式的な行事は簡略して、五条家代々ゆかりのある神主のもと神前式で取り行われた。
3日3晩続くという歴代の五条家の婚礼の犠に比べれば、たった1日だけの祝言は質素なものだったが、和装を身に纏った新郎新婦にひとことお祝いを、と高専の生徒たちや後輩たちも駆けつけてくれ、顔ぶれはそれはもう賑やかで、悟は満足そうな笑顔で彼らを迎えた。
夜には親族のみの会食を五条家で行い、2人が住むマンションに着いたのは深夜0時を回った頃だった。
たくさんの荷物をよいしょっといったんリビングに置き、未亜は10人掛けソファーのど真ん中に腰掛ける。
悟は「すっかり慣れたねぇ」と嬉しそうに横に並ぶ。
未亜はどうしても悟に聞いてみたい事があった。