第7章 エピローグ
「マンションに置き忘れてた私物、取りに行くね」
悟の空いてる日と時間を聞いて私物を取りに向かった。
大したものではなかったが洗顔時のヘアバンドやヘアクリップ、コンビニで調達したパンストの予備など、どう考えても男性には必要のないものが置きっぱなしになっていた。
合鍵とか持ってしまうとずるずるといりびたってしまいそうで、未亜は用事がある時はいちいち連絡をいれて約束をし、悟がいる時間にマンションを訪れていた。
いつものようにインターホンを鳴らし、オートロックを解除してもらって、エレベーターで最上階へと足を運ぶ。
最上階フロアにつくと、悟がドアから顔を出して、到着を待っていてくれた。おじゃましまーすと部屋に入った瞬間、思わず口にした。
「ね、なにこれ?」
「何って見たらわかるじゃん」
宛先 :五条悟 様
差出人:一条琴
ラベルの貼られた段ボール箱がリビングの隅に3段に積まれて置いてある。
あ、運ぶの手伝って、そう言うとこっちこっちと未亜を引っ張っていく。20畳以上あるリビングに部屋が3つ。
それ以外に寝室や浴室、トイレ、クローゼットルームと、改めて見ると、本当にバカでかい間取りの中の、ある一室のドアを開けた。
「じゃーーん!」
「は、い?」
「ここ未亜の部屋。日当たりいいでしょ? どうどう? あ、ちなみにベッドはないよ、僕と一緒に寝るからね。足りないラグやカーテンは好きなやつ選べばいいし、はい、これカタログ。オーダーメイドは巻末にあるから。後は……」
「ちょっと待って、なにこれどういうこと? いつのまに……」
自分の部屋だと紹介された部屋には母親から届いた段ボール箱が10箱以上積まれており、実家にあったドレッサーや収納タンス、机などがおかれている。
ローテーブルやビーズクッションは新しく買ったのだろうか? 悔しいけど結構好きなデザインで可愛い。
言われた通り、ベッド以外はほぼほぼ揃っていて住めそうになっている。
足りないものやインテリアはその都度増やしていいからと言われ、わーい! とテンションが上がったが、いやいやそういう事ではない。
未亜は悟の方に向き直った。