第6章 12年目の真実
一連の事件についてだいたいの事は把握しているようだったので、わからないところは質問をもらいながら、かいつまみながらの説明となった。
母親が陰謀にはめられて、呪霊ラボの秘密を知ってしまい、それをダシに人質にされ、電話で呼び出されたこと。
呼び出された先に刈谷がいて、母親を助けて欲しければ、五条悟に近づき、呪霊ラボおよび五条が目をつけてる上層部の黒幕は未亜だと疑念を抱かせるように言われたこと。
そして最後はK2、つまり刈谷と楠本が犯してきた罪を全部背負って、五条に殺されろと命じられたこと。
五条は教卓でメモを取りながら話を聞いている。
「事情はわかったけどさ、なんで誰にも相談しなかったの? 僕に殺されろ、とかそもそも無茶ぶりじゃん。硝子とは術師辞めてからもつながってたんだよね? ひとこと連絡いれればよかったのに」
「それは……誰かに漏らしたら、母もだけど話したその人も殺すって言われたの。特級呪物を開発したって話したでしょ? それに殺す指令を送るって」
「あーなるほどね。でもまぁ、そんなわけのわからないもののために命を差し出そうとする未亜も未亜だよ。琴さんだけなら未亜の力で探し出すことも出来ただろうに……」
「だって……」
「だって、なに?」
未亜は少しためらった。うまく言葉に出せるかわからなかったからだ。
五条のほかにもう一つ自分が逃げてきたものがある。その思いをうまく文字に起こせるだろうか?
頭の中で思いを言葉に変換して、それをゆっくりと音に乗せた。