第5章 恋情と嘘
「はぁ。ほんと、悟にはかなわないな。完敗だよ。なにから言っていいか、わかんないけど、まずはお母さんのこと、ありがと。よかった。でもね、それだけじゃなかったんだ。
あいつ――刈谷は五条悟はまだ開発中だけど、その周りにいる人間を遠隔から殺戮出来る特級呪物の開発に成功したって言って……。
実際にたくさんの術師が死んでるの。その中には高専の生徒もいた。その特級呪物のプログラミングの停止に五条悟の残穢が残った私の死肉がいるっていわれたんだ」
「っんとにどこまで汚ねぇ奴らなんだ。……特級呪物ねぇ、、、多分だけど、トリックだよ。確かに高専の生徒で最近なくなった生徒はいたね。でもそれはその呪物のせいじゃない。別の呪いにやられて犠牲になった。
つまり死亡した術師とその術式をリストにしてその呪物があたかもやったように未亜に見せたんじゃないか?
だってそれ、未来の予測はのってなかったでしょ? そんな凶器が出来てたらとっくに呪術界に調査依頼入ってるし僕がそんな危険な呪力、気どらないわけないじゃん」
五条の話は聞けば聞くほどに納得のいく話ばかりだった。あまりに淡々とひょうひょうと説明するので、今まで何やってたんだろ、お別れの言葉って何ひとりで言ってたんだろ、って自分が馬鹿らしくなる。
結局は刈谷の手のひらと悟の手のひらでころころと転がされていただけなのか。命まで賭けたのに。
もう一つだけ気になることがあった。呪力がそろそろ底をつこうとしているが、このまま二人だけの結界の中でどうしても聞きたいことがあった。
聞かなくてもいいけど、ここまできたらすべて聞いて納得しよう、今揺らいでいるこの感情にもカタをつけて、すべてが落ち着いたらまたひとりで生きていこう、そう思って五条に問いかけた。
「ねぇ、今日、私が領域展開することも悟の想定内だったんだよね? だからあの日わたしを抱いたの?」