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【呪術廻戦】-12年目の真実-

第1章 再会




「好きになった」

 そうやって五条から告白されたのは、高専1年の寒い冬の日だった。

 長めのマフラー買っといて正解! と鼻先までマフラーを上げ、首に三重にぐるぐる巻きにして、任務から戻ってくると、五条が校門に入ってすぐのところに立っているのが見えた。

 寒いのに何やってんだろ? と横目に見ながら通り過ぎようとしたその時、呼び止められて、いきなり気持ちを告げられた。

 ずっとここで待っていたんだろうか?
 しばらくそこに居たかのような、冷えた空気を五条の身体から感じとった。

 好きと言った五条の息は真っ白で、首をすくめて肩は小刻みに震えているのに、頬と髪からわずかに見える耳だけが、やたら血色のいい紅色に染まっている。本気なんだな、と未亜は感じた。

 当時、未亜の中では、五条悟は恋愛対象から除外してしまっていた。いつもウザ絡みしてきたし、実際五条にはそういうチャラいところがあったから。

「なぁー、彼氏欲しいって顔に書いてあんぞ」
「目の前にいるGLGが見えてないとかもったいないよな」
「あぁーまた知らねー女から連絡先渡された」

 こんな面倒くさそうな五条と恋愛するくらいなら、もっと強くなって一人前の呪術師になりたいと思っていた。

 だが、実際目の前で「好きになった」と言われると、不思議と胸の中にポッと小さな火が灯り、未亜はそのまま五条の告白を受け入れたのだった。

 自分の付けていたマフラーを外し、寒そうにしている五条の首にかけてあげると「いらねー、寒くねぇ」と言って五条は未亜の首にかけなおす。

 その直後に五条がクシュンとくしゃみをするもんだから、未亜はしょうがないなぁと、ぐるぐる巻きの半分を五条に、半分を自分に掛け、2人は並んで校舎まで歩いた。

 五条のことを好きになるのに時間はかからなかった。

 いつもは、弱ぇーだの、遅ぇーだの、マジありえねぇーだのさんざんけなすくせに、いざとなると誰よりも優しくて、好きを不意打ちしてくる。

――瞼にぼんやりと記憶の断片が浮かびあがる――
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