第5章 恋情と嘘
五条悟に殺されるには、呪詛師や術師殺しの類になれば、確実にそのターゲットに入る。
だが、本質的に術師としてこの世に生まれた未亜は、呪力を悪用するという行為がどうしても出来なかった。となると、他に方法を考えなくてはならない。
まずは五条の怒りをかうこと、彼が大切にしているものを壊そうとすること、そして、存在が邪魔で許せなくなる事。
そこまでして彼を怒らせて領域展開すれば五条はより洗練された領域展開、無量空処で押し返して私を殺るだろう。
未亜はそう考えた。
もともと未亜に刻まれている術式が、自分の体内の遺伝子や細胞を司ることに非常に長けているもので、強固に体を保持している。
そんな事から反転術式が無意識でもまわりつづけるので簡単には死なない。よほどのスピードと量で攻撃を連続してくらわない事には脳が循環して勝手に体が治癒するのだ。
五条の茈や赫を連続的にくらえばわからないが掠るくらいでは何ともない。
やはり無量空処が1番確実、
未亜はそこに目標を定めた。
◇
五条が大切にしているものを考えていた。
何だろう?
しばらく会っていなかったから検討もつかないが恋人や婚約者、結婚相手が現在いないことは調べあげた。硝子に聞けば早いのだが、親友は巻き込みたくない。
高専から出る途中、ふと見ると面影のある顔を見つけた。あれはもしや……。
恵くん!?