第5章 恋情と嘘
五条は急に思い立って「居場所、特定できるかもしれねー」といって急いで五条家に戻った。
五条家に戻ると祭壇のところに駆け寄る。そこには未亜に渡した腕時計に埋め込まれた玉石があった。
これ、確か持ってる磁力で互いの位置を計算できるんだよな? 悟は五条家の曽祖父に確認した。
――未亜を拉致した呪詛師集団がひそひそ声で話しあっていた。気を失ってから数時間、風呂敷の中で未亜は意識を取り戻した。
「五条悟はほんとにここにくるかね? こちらの結界を張ってあるところに自ら飛び込んでくるとは思えん」
「いや、くる。一条家の娘をさらったんだから間違いない。」
「そもそも場所を特定できんだろ? あらかじめここを指定して五条をおびき寄せたほうが得策なのでは? 他の術師がきても意味がない」
「一条の娘は奴の恋人だぞ! 黙って奴が遠隔から見てると思うか? 絶対くる。まぁ場所は簡単には特定できんだろうな。3日はかかるだろうさ。でもそれでいい。そうやって迷って悩んで心配してすり減って、ぼろぼろの状態でここにたどりついてくるのが目的だ。もっと奴をぎりぎりまで摩耗させないと! 結界も簡単には破れん。二重・三重とトリックがしかけてある」
ボスらしき呪詛師がそうつぶやくと
「誰が3日かかるって?」
高いところから聞き覚えのある声がした。
「お前ら全員死にたいってことでいいんだよな」
五条悟だった。
結界の上空に五条は浮いていた。
両手の拳を重ねてポキッと指をならしながら
「最近、使うところがなくて困ってたんだよ」
といきなり蒼を発動し、結界内にバラバラに隠れていた複数の呪詛師たちが一カ所に収束して固められた。
呪詛師たちも反撃して五条に攻撃をしかけるが当たらない。
「バカな! 無下限呪術はこの結界内では効かないはず」
「バカはおまえらだろ! 術師は俺ひとりだとか思ってる? 脳みそ弱すぎだろ」
結界を破る仲間の術師も連れて五条ははせ参じていた。二重・三重とブラフの結界がはられていたのもあっという間に破られてしまっていた。