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【呪術廻戦】-12年目の真実-

第4章 交錯


「はぁ……。どうして私に聞かなかったの、それ今、高専でも調査依頼がきてるんだけど、ひょっとしたら、傀儡子の仕業かもしれない。なぜ五条を対象にそんなことしたのかは謎だけど」

「傀儡子??」

 硝子の話によると傀儡子は媒体術式を用い人の転写をするのだという。

 未亜が目にしたのは、五条悟や昔の彼女を転写しただけの操り人形で、実物ではなかった可能性があるという。

 近くで見れば傀儡だと一目瞭然だが、遠くだと実物と変わらないように見える術式らしい。

 言われてみれば女性への接し方も歩く姿もぎこちなかったかもしれない。

 でもその時はキスしている姿に驚いて、心が乱されてそんな術式に騙されているなんて全く気づきもしなかった。

 お見合い話そのものが偽りだった可能性がいったん脳内に湧き出ると、どんどんそんな気がしてきて未亜は胸が苦しくなった。

 硝子は辛気臭い顔をしている未亜から何か一つでも明るいニュースを引き出そうとしていた。

「じゃあ、呪術界に戻ってくるって話は?」
「なんのこと?」
「五条からきいてない?」
「なにも」
「はぁ」

 本人が望むなら術師としてまた共に呪いと戦っていけたらと、未亜はほんとはそうしたいんじゃないかと五条は話していたらしい。

 一度にいろんな情報が舞い込んできて、処理が全く追いつかない。

 そんな事まで考えてくれていたのかと思うとさらに胸が締め付けられる。

 硝子はふとしおれかかってる薔薇に気がつき、未亜にたずねた。

「五条が持ってきた薔薇ってこれ?」
「あ……うん。そのままになっちゃってたな。片付けるね。まあ貰ったというより半ば捨てていったというか……」

 硝子が薔薇を見つめる。

「9、10、11、12……12本か……」
 
「なぁ、未亜?」
「んー?」
「薔薇の花束12本の花言葉って知ってるか?」

「花言葉? 12本? 知らない。そういや数とか数えてなかったよ、あの日疲れちゃってさ」

「そっか、知らないか。……言ってもいいのかな? でも私は五条の友人でもあり未亜の友人でもあるからあえて言わせてもらうよ。落ち着いて聞いて」

「う、ん」


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