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【呪術廻戦】-12年目の真実-

第1章 再会


 未亜は一気に緊張が解けた。五条と顔を合わせるのは、高専を卒業してから実に4年ぶりだった。同学年で同じ年に卒業しており、そこからは顔を合わせていない。

 こっち、とカフェに向かって先に歩き出した五条を小走りで追いかける。追いかけるその背中の黒いサマーニットがかすかに揺れ、黒い背中に高専の黒い制服が重なった。
 
 懐かしいな、歩く五条の背中を見ながらふと未亜はそう思った。

 しばらく歩くとおしゃれな飲食店が立ち並び、人の列が出来ている。さすが渋谷! と言った感じだ。五条はその中から人の少なそうなカフェを選んだ。

 "カランカラン"
 ベルの音で店員さんがこちらに振り向き、屈託のない笑顔を見せる。いらっしゃいませ、と出迎えられて五条と店内に入った。
 
 中の小窓はすりガラスが使われており、斜めに入りこむ強い日差しを、柔らかいものに変えている。聞こえてくるのはフランスのパリを思わせるアコーディオンのBGM。それらがゆるやかな時間を醸しだし、常連さんと思われるお客さんが数名、珈琲の香りを楽しんでいる。

 初めて来たという五条の直感はなかなかすごい。落ち着いて話が出来そうなカフェだった。久しぶりの再会を察してくれたのか、笑顔の店員さんは、五条と未亜を1番奥の席に案内してくれた。

 ほどなくしてケーキセットがテーブルに並んだ。

「どう? 一般人の生活は? 今、たしか会社員なんだよね?」

「え? 生活? う、ん、まあ楽しいよ。嫌な上司とか理不尽な仕事とかそういうのはあるけど、それは呪術界も同じか。一言でいうと、穏やか、かな、命を狙われる事もないし」

 言いながら胸の奥に刺さった棘がほんの少しだけ疼いた。ちらっと五条に目を移すと、口を付けたコーヒーに甘みが足りなかったのか、シュガーを2本追加している。空気を変えたくて話題の焦点を、五条に切り替えた。

「悟は、どうしてるの?」
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