第1章 再会
「どうして悟がここに?」
「どうしてここに? ってそれは君が1番よくわかってるでしょ」
未亜は数時間前に電話をもらい、ここ渋谷キャストの広場にやってきた。先日ちょっとした出来事があったのだが、その現場に忘れ物をしてしまい、母が知り合いの呪術師に尋ねてみたところ、届けてくれるということで、その術師さんと落ち合う予定だったのだ。
がしかし、五条悟が来たということは、忘れ物を届けに来ただけじゃないんだろう。
「残穢を見てすぐに君だってわかったよ。僕が見誤るわけないからね」
「未亜が祓ったの? あれ特級だよ?」
「一般人の君がねぇ……。上層部の連中も驚いちゃって、僕に今すぐ連れてこいって大騒ぎでね。ま、山一個吹っ飛んでるし、処罰は免れないとは思うけど」
顔を見るなり次々言葉を浴びせられる。それに対して未亜は何も返事が出来ないままでいた。
どうしよう、と不安だけが押し寄せる。帳を張ったとはいえ、やっぱり呪術界に連絡しなかったのはまずかったかな、特級呪霊だったしな、そりゃ祓ったら目立つよね。損害賠償を請求されるのかな?
ううん、悟が来たってことはもっと大きな何か……人? え、まさか犠牲者を出していた? あの時、確認していたはずだけど。
手に持っていたハンカチをぎゅっと握りしめる。考えれば考えるほどに負のループにはまり込んで抜けられない。
五条はそんな未亜をしばらくじっと見つめていたが、徐々に陰りを見せていくその表情を目にすると、急に笑い声をあげた。
「あはは! 処罰なんてうそうそ。そんなしけた顔してんなよ。誰が連れていくかよ、あんなクソ上層部の連中んとこ! 伊地知から今回の件聞いて、現地行ったら久しぶりにお前の残穢見てさ、僕が会いたくなっただけ! なんか甘いもんでも食べにいこうか」
「え? なにそれ! ちょっと驚かさないでよ。もぉー、性格ワルすぎでしょ。ほんとこっちは心臓止まるかと思ったんだから! やめてよね。まさか悟が来るなんて思ってなくて、これは絶対ヤバい事やらかしたってヒヤヒヤしてたんだから」
「くっくっくっ、泣きそうなってたもんね。あぁー写真撮っときゃよかった。その顔、硝子に見せてやりたかったよ」
「はー? 相変わらずの最低ぶり」