第1章 硬化 【切島鋭児郎】
その日から、切島くんが声を掛けてくれることが増えた。
個性の話題のときもあれば、職場体験の話、はたまた「あの番組見たか!?」と他愛のない話のときもある。
私は体育祭で惹かれてから、どんどん切島くんのことを好きになってる。
でも、切島くんはどうだろう。
誰にでも分け隔てなく優しいし、どんどん強くなって、益々かっこよくなってる気がする。
そんなことをぐるぐる悩んでいたら、友に「告ってこーい」とまた背中を押された。
友人いわく、ああゆうタイプははっきり言わないと伝わらない、と。
はぁ、前とは違う緊張感。
断られるかな、そしたらまた友達に戻れるのかな、などと考えているうちにまたA組の前までたどり着いてしまった。
ドアに手を掛けて深呼吸していると、デジャヴのようにまたガラッと中からドアが開いた。
上鳴「あ、切島〜!お客さん!」
前と違って今度はすぐ切島くんを呼んでくれる上鳴くん。
緊張した様子の私を見て、ニヤッと笑った気がした。
切島「お〜固野じゃん!どした?何かあった?」
「ちょっと話したいことがあって…今いい?」
そう言うと、いつもと違う様子の私に気付いた切島くんは場所を移動してくれた。
屋上への階段の踊り場、ここなら誰も来ないからって。
切島「で、どした?そんな深刻な顔して」
ふぅ〜〜〜。
深呼吸をして、ついに私は切り出した。
「あの、実は私、切島くんのことが好きで……」
切島「ふぇ!?」
いつかのデジャヴ再び。