第3章 鯨
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アリサちゃんは次の撮影へ。
私と美羽ちゃん、リエーフくんの3人で
折角だからランチを食べにいくことに。
「…で!婚約してるんですか!」
『もーいいよこの話題。 いろんな人に聞かれて疲れた』
「いや、あの映像で言ってたままでしょ。別に特に言葉にはしてないけど、確信ありみたいな」
『…そだね、美羽ちゃんのお察しの通り』
「へー! なんかそういうカップル他にもいたなー」
『…?』
「高校の時の先輩とその彼女がなんかそんな感じだった」
『…へぇ …どんな感じ?』
「言葉とかいる?みたいな。 あれでもちょっと違うな〜
研磨さんたちは結構ストレートだった気がする。
でもなんていうか、言葉じゃないものもすごい感じたっていうか」
『………』
「俺らはそれを愛とか絆とかって呼んだんだけど…」
『…笑』
「研磨さんはいやがってたな」
『うん、その気持ちはちょっとわかるかな。
影山くんは真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐだけど、なんていうか、愛とかそういうんじゃない』
「へー 俺は好きなら好き好き言っちゃうけどなー」
『それは、君らしくてすごくいいと思うよ』
「要は自分の大事が何かってことだよね」
「自分の大事?」
「リエーフが好き!って言いたい気持ちが強くあるならそれでいいってこと。
飛雄が別に言わなくてもいい、伝わってるって思うならそれでいいっていうか。
自分の大事にしてることを大事にすればいい」
『…自分の大事』
──「自分の大事は俺にとってバレーだったんすけど、
今はなんつーか、りさ子さんもっす」
あの放送があった後、
影山くんが電話でそう言ってたな。
「…お、飛雄なんかそれについて言ってた?」
『あぁ、うん。ちょっと、言ってた』
「ふーん」
『美羽ちゃんニヤニヤし過ぎだから』
「え、この場合りさ子ちゃんは妹?いいねー友達が親族になるとか」
「いつっすか!」
「オリンピックで帰国した時じゃない?」
「…あー!じゃあもうちょっとじゃないっすか!」
当事者をよそに話が盛り上がっていく。