第3章 鯨
・
・
・
『…で秘密って? 話してくれるから言ったんでしょ?』
「えー俺言っていいんすかー?」
「いやここは美羽ちゃんが」
「いーよ、なんか凄み出ちゃいそう。リエーフくんお願い〜」
『………』
「美羽さんの弟って会ったことある?りさ子さん」
『…?いやないけど。同業なの?』
確かに美羽ちゃんは美形だ。
スタイルもいい。
一緒に仕事になるとオフショットで
美羽ちゃんを気付いたら撮ってるってことも多い。
「美羽ちゃんの苗字知ってる〜?」
『うん、影山………はっ? えっ?』
美羽ちゃんの方を見ると、
にやぁとしてやったりの顔。
『え、ちょっと、結構現場一緒に入ってたよね、夏以降も』
「だね」
『な、なんで誰も何も言わないの!?』
「…わかんないけど 笑」
え、なんかちょっと、どうしたらいいの。
あーでもあのワンピース、美羽ちゃんにしっくりくる。
『…えーちょっと待って、何この展開』
「うちの弟がお世話に……」
『や、ちょっと待って!やだ!この展開!』
美羽ちゃん、絶対わざとやってる。だって、ニヤニヤしてるもん。
やだやだ、美羽ちゃんにお世話になってますとか言われるのも、
いえいえこちらこそ、末永く……とか言うのも。
「…まぁこの間の、婚約の件も相変わらずわけわかんないこと言って
記者もスタジオの人間も困らせてたけど」
『………』
「まぁ、りさ子ちゃんも大概変態だし、大丈夫かなーとか」
『………』
「遠距離だろうと側にいようとそんな変わんないんでしょ?」
『んー、でも肉体的には……』
「ヤダヤダ、弟のそういうこと聞きたくない!
飛雄、単純だからなんか想像できちゃうし… ぅわ、最悪」
『いや、最高だよ、彼の……』
「やーーー!!」
「えー♡もっと聞きたい〜♡」
「俺もー!」
『…笑』
思わぬ展開に悪ノリしながらも
いつも通りに時間が過ぎて…