第3章 鯨
「…今日昼メシ、作ってもらってもいいっすか?」
『うん、もちろん。何食べたい?』
「………」
『………』
「ポークカレー、食いたいっす。りさ子さんの」
『お。了解。 じゃあ作っておくね。 行ってらっしゃい』
「ぅす」
…そうとなったら。
市場へ買い物に行こう。
ささっと身なりを整える。
ミラノの撮影でもらったもう一枚のワンピース。
黒のVネック、ウエストマークするベルト付き。
放線的なギャザーとドルマンキャップスリーブのくたっと柔らかな生地の落ち感が綺麗な一枚。
影山くんがお姉さんの服を貸してくれるとき、
選んでくれたのが黒いワンピースだったから。
これはどうかなって。なんとなく、今日までとっておいた。
・
・
・
市場のスパイス屋さんでスパイス色々。
それから野菜を買いに。
りさ子さんのポークカレー、かぁ。
具材は影山くんのと一緒で、オーソドックスなのでいこう。
人参は家にあるから、じゃがいも、玉ねぎ。
サラダは…コールスローにしようかな。
福神漬けも作っちゃおう。
蓮根は見つけれなかったけど、大根はゲットできた。
そんなわけで福神漬けはきゅうり、茄子、大根で。
あとはヨーグルトに乗せるネクタリン。
ヨーグルトとお肉を買う前にコーヒーを一杯飲んで。
それからお肉屋へ。
影山くんはブロックのまま買ってダイス状にして使ってたけど…
肉屋のおじさんに頼んでバラ肉をスライスしてもらう。
少々粗さがあるだろうと読んでかなり薄めにお願いしたらちょうどいい厚さになった。
やった。
いろいろ売ってるとこでヨーグルトとりんごジュースも買って。
あぁ、重たい。重たいけど、幸せな重さ。
影山くんのアパートへと戻る。