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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第3章 鯨









「歌は…歌わないっすね…」






アルマーニのスーツに身を包んだ影山くんは
今、ホテルの浴室にいる。

白を基調とした広々とした浴室で、
バスタブの淵に腰掛けてもらってる。

緊張とはまた違う、なんだろうな、
どうしていいのかわかんねー的な空気で
目は泳ぐわ、そわそわと色んなとこ触るわで、
…うん、とてもかわいい。

絶対レンズを真っ直ぐに見つめさせてみせる。
あわよくば、その瞳には色が孕んでいるといい。








『じゃあランニング中とか聞いたりはしない?』

「……しないっすね」

『…そっか、因みに私は歌が好き。学生時代はバンドやってた。
いや違うな、卒業後も』

「…そっすか」






ううう、たまんない。
この、会話が続かない感じ。

ゾクゾクする。

いいの、お互い今日はこの後の予定はないし、
ゆっくりでいい。ゆっくり、解けていけば良い。







『そういや、今日これを引き受けたのはなにか理由があったりする?
頼んでおいてこんなこと言うのもおかしいけど
アート誌の企画の被写体に興味がありそうには思えなくって』

「…それは」

『うん』






いいなぁ、この、言葉をまとめてるときの表情。
上を向いて、考えてる。

一見スマートそうにみえて、
全然とんちんかんなこと考えてそう。







『…美味しいものでもご馳走してもらえることになったとか?』

「あ、そーっすね なんでわかるんすか」

『顔に書いてある』






テキトーに言ったら当たっちゃった。






『Ali Romaの広報さん経由で、オーナーからのお達しとか?』






今度はもっとテキトー。
なんでオーナーがこの話に関わってくるんだよっていうめちゃくちゃな憶測。







「あ、そーっす」

『えっ ちょっと、もーシャッターから一瞬、指離しちゃったじゃん』







なんだろな、この、ふわっとした感じの色気。
コート内ではあんなに研ぎ澄まされてるのに。

カメラの向こうにいる彼は、そうだな…

とぼけてる。

この表現がふさわしい。











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