第2章 玉ねぎ
賑やかというか、
でもいつも通りというか、
いい感じに夜が過ぎ彼らは3階の自分達の寝床に帰っていった。
いい具合に酔いの回った私は、
覚の作ってくれたショコラショーを屋根裏に持って上がって、
ぼんやりとした時間をすごしてる。
ショコラショーからはラムの香り。
覚は明日の味覚に酒が影響するのが嫌だから、
ほどほどに飲んで後はうまい具合にいつもやってる。
人を不快にさせるのも得意だけど、
人に気遣いを気付かせないのも覚は得意だ。
その妖怪の気配に忍ばせて、実はさらっといろんな気遣いをしてる。
『ねぇ、覚』
「…んー?」
『お店の名前、もう決まってるの?私まだ聞いてない』
「うーん、決まってるけどね〜 どうせすぐわかるんだしいいでしょーわざわざ言わなくったってさァ」
『…うーん、そう言われるとそうな気もするし』
「でしょでしょ」
『えーなんで聞かせてよーとも思う』
「あ、鬼滅の刃みる〜? あれから観れてないねぇ」
『…そうだね、観るか。 映画もすごいことになってるんだもんね。
早く追いついて、次、覚と休みが一緒になったらシアターで観たいなぁ〜』
「だねだね〜 じゃ、つけよっか。 何で観る〜?」
『天井に映してみようよ。ベッドに寝転がってさ…』
「いーよー じゃありさ子歯磨きするついでにさ、水とプロジェクター持ってきて。
下にあるよねー?」
『…そうだね、下にある。 じゃあ持ってくる。
あ、ショコラショー美味しかった。 覚のチョコレートドリンク、最強』
「…ふふん でしょでしょー」
カップを下に持って降りて、洗って濯いで。
歯磨きをしてプロジェクターを手にして…
部屋の中で持ち運びやすい小さいやつ。
…あ、水も持ってきてって言ってたな。
蓋付きの小さめのピッチャーに水を入れて
グラスとプロジェクターも一緒にトレーに乗せて屋根裏へ。