第2章 玉ねぎ
──屋根裏へ上がると覚がいて。
数冊の本を持って立ち上がりこちらを振り向いたかと思うと、
どさどさどさーっと本を床に落とし、
腕をぷらぷらさせ口をあんぐり開けて私を見た
「ひょえ〜 その格好で上がってきたの?りさ子ってやっぱクレイジー」
『…?』
シャワーの後裸や薄着でうろつくのは今に始まったことじゃない。
服は下のウォークインクローゼットに二人分しまってあるけど、
下着はいくつか屋根裏にいつも置いておくようにしてるし、
屋根窓から日の当たる時間にゆっくり肌にクリームを馴染ませていくのが好きで
その日もそうしようと思ってた。
『覚は読書?』
「ううん、若利くん読むかなぁ〜って思って」
『…若利くん』
………。
『ひゃあ! ええっ! あぁー!』
「ブヒャヒャヒャ……笑」
自分の晒した醜態というか破廉恥な様というか…
どこをどう切り取って思い出しても 繕いようのないほどの失態。
「天童、大丈夫か? 何かが落ちる音と、大きな声がしたが………」
「ブヒャヒャヒャ…! 若利くん上がってきちゃうんだ! もーほんと君たちクレイジ〜!」
目に涙を溜めて笑いこける覚と、
屋根裏までは上がってこないものの、
階段の上の方まで上がってきて覚と私を気にかけている若利くん。
それから首にかけたフェイスタオル以外身体を隠すものを持っていない私。
今は背中を向けてる。
このまま布団に走り込むのがいいけど、それも今更恥ずかしい。
「ダイジョーブ!本を落としちゃっただけぇー 今降りるから若利くんも降りて待ってて〜」
「あぁ、そうする」
立ちすくんでいると覚の助け舟か、いつものただの流れか。
わかんないけどとにかく若利くんはとりあえず下に降りていき、
私の頭をタオルでわしわしっとした後、覚は本を拾って下に降りていった。
とりあえず保湿しよ。
やろうと思ってたことやってれば落ち着く気がする。
そう思って、薔薇の香りのボディクリームを少しずつ身体に伸ばしていく。
少しすると覚がワンピースを持ってきてくれて、
そして下に若利くんがいる中、身体を重ねた。