第2章 玉ねぎ
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それから1ヶ月の間、覚は盛りっぱなしだった。
2人一緒のオフの日はあれからまだ無いけど、
それでもふとした時間に身体を重ねた。
そうこうしているうちに情熱大陸の取材が始まった。
ちょうどうちの下の部屋が空いていて、
取材班はそこに寝泊まりをして覚に密着してる。
ご近所さん、みたいな感じで普通に顔を合わせるので、
別に人見知りではないけどそれでもあった壁みたいなものはすぐに崩れていった。
だって、向かいのパン屋で、朝のゴミ捨てで、ふと顔を合わせるのだ。
引っ越してきた隣人と顔馴染みになっていく感覚。
それに加えて取材で覚につきっきり。
取材が始まって1ヶ月半。
それでも覚はまだ、うちに取材班を入れてない。
12月には若利くんと会うと言ってた。
その前に時間を作って会うこともできるけど、
せっかくだからほんとに久々の再会をカメラの前でしちゃおうかな〜とかなんとか。
若利くんには何度か会ったことがある。
そして私は若利くんと覚の組み合わせがすごく好きだ。
惚気じゃないけど、素直に、
若利くんは覚に出会えてよかったね、って思う。
それから、久々の再会をカメラの前でするのは賛成。
…なんとなくだけど。その方がいい絵が撮れる気がする。
「ねぇりさ子〜 来週あたり取材の人うちに入れるね〜」
『うん、いつでも。 そもそも毎日でも入ってくるって思ってたから
ここ1ヶ月半拍子抜けだったよ。 もはや私には階下に越してきた日本人って感じ』
「ふふ〜ん それはそれで良さそうだねェ」
『まぁ、そうだね、それはそれでラクかも。何か特別することとかないよね?』
「りさ子の予定に合わせたりとかしないから、テキトーでいいよ。
家にいたらいつも通りに。 家にいないならそれもいつも通りに〜」
『…うん、まぁテキトーにする。 裸で歩かないようにだけは気をつける』
「…ブフォッ 前、若利くん来てるのにシャワー浴びて裸で歩き回ってたもんね〜」
そう、私は若利くんがそこのソファに座っている中、
堂々と裸でバスルームから出てキッチンで水を飲み、
屋根裏へと上がっていったことがある…