第2章 玉ねぎ
「じゃありさ子、おやすみ〜」
『おやすみ、覚』
覚は抱きつく私に構わず上を向いて目を瞑る。
構わなくていいの。 構わないのがいいの。
覚の身体に顔を埋め目を閉じる。
覚からはいつもチョコレートの匂いがする。
深く息を吸い込めば、ふわっと甘く優しく夢の中へ誘われる
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目が覚めると、裸の私。 裸の覚。
後ろから抱きしめられている。
…あれ れ?
昨晩はあのまま寝たはず。
あぁそれからまた深い眠りの中、夜這いをかけられたんだ。
まだ毛布を出してないのもあって寒いよ、と言うと
このままくっついてしよう。
それから眠くなったらそのまま寝よう。って言って
あれよあれよと身ぐるみ脱がされ、覚と身体を重ねた。
後ろから優しく甘く、人間らしく。獣らしく。妖怪らしく。
覚は私を抱いた。
ショコラティエの朝は早い。
私はそれに合わせてってわけでもないけど、同じくらいに起きる。
朝の時間は有意義でいい。
4:30。
覚はあと30分もすれば起きるだろうか。
先にシャワー浴びてしまおう…
そう思って起き上がるとすっと手首を掴まれる。
「今何時〜?」
『4時半』
「あと30分」
覚はそう呟くと私を布団に招き入れ、またも抱いた。
時間を気にしているのか、少々荒々しく。
でもそれにも愛がある。
こうなってくるとただの思い込みかもってくらい、覚の全てに愛を感じる。
結局一緒にシャワーを浴びて、
そしてあろうことかそこでも覚は盛った。
昨日から今までで5回。
こういうことはあまり、ない。
そしてそれをそのまま受け止める私もどうなのよ、とか思いながら。
サラダ、ハッシュドポテト、グラノーラヨーグルト。コーヒー。
いつもの簡単な朝食を済ませ準備を終えた覚を見送る。