第2章 玉ねぎ
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電気屋でフードプロセッサー、
それからマルシェで夕飯の食材も買って部屋に戻ってきた。
夕飯までまだ時間がある。
覚がグラタン食べたいって。
ごちゃごちゃしたやつじゃなくって、
塩茹でしたじゃがいも、ベーコン、玉ねぎ、塩、胡椒。
それからルブションチーズ。
シンプルなグラタン。
だからあとは、サラダとソーセージ、それから赤ワイン。
サラダには薄く切ったマッシュルームをたっぷり乗せたい。
スープは残りがあるし。
食後にはきっとアイスがある。はず。
覚が全部食べちゃってなければ。
時間がかかるものは何もないから、のんびりする。
私はスクリーンでドラマを、
覚はやっぱりジャンプの続きを。
朝の続きだ。
違うのは屋根裏のベッドの上じゃなくて、
リビングのソファに移動したってことと、
タブレットじゃなくてスクリーンで観てるってことくらい。
その間、覚は私の膝の上に足を乗せたり。頭を乗せたり。
トイレに立ったついでにソファの背もたれの後ろからずーんと肩に頭を乗せてきたり。
そっとしておこうって素振りは1ミリもない。
だからってちょっかい出そうとか、
甘えたいとか、かまって、っていうんでもなくて。
ただ、ただ、その場その場で身体が動くままにしてるって感じ。
猫とも違う、何だろうな…
やっぱり覚は妖怪っぽい。
愛を持って、妖怪と呼ぼう。
「りさ子は妖怪の子供産むのー?」
『え?』
脳内読みとったの?
覚は視線とかあと何を見てるんだろうか、
わかんないけどすごい、勘を発揮することがある。
「妖怪の子供、産むの?」
『え、覚って本当に妖怪だったの?』
「ブッフォ… 俺? 俺のことじゃないよーん」
『は?もっと謎。 覚が妖怪でしたって言われても、うんそっか。そんな気がしてた。だけど』
なんで覚以外の子を産むのよ。
「りさ子は俺の子供産むの?」
『うん』
「ふーん そうなんだねー」
何だそれ。
何だそれだけど…
普通に素直に答えてしまう。
覚が父親になるってどんなだろう。
たまに考える。