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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第1章 チェンバロ








自転車で出前を運ぶ少年がふと目に入った。



…ここでいっか、条件があるわけでもないし、
決め手が降って湧いてくるのを待ってても仕方ない。



他の乗客が降りるためバスが停まったのでここで降りることにする。




ビーチバレーやってんだ… ってまたビーチに行ってもな。
水着もないし。 

町の方歩こうっと。





車も多いしバイクも多いし人も多い。
おまけに暑いし疲れるけど… 意外と楽しいかも。







雑貨?洋服屋?よくわからないけど
雑多な店でテキトーなバッグを買う。

150レアル、3000円しないくらい?
それがここで安いのか高いのかもわかんないけど。

そこにポッケに入れた小銭をじゃらじゃらと移して肩に下げて歩く。
屋台でコーラとパステウを買って、
食べながら飲みながらふらふら歩く。







目配せしてくるおじさんお兄さんを軽くかわしながら歩みを進める。







うん、結構楽しいかも!







…この、混沌とした感じ。
排気ガスのにおい、むわっとした人々の熱気、
飛び交うポルトガル語、高々となるクラクションの音。

悪くない…かも……








「Desculpa!」
(おっと、悪い!)








わたしの左腕に思い切りぶつかってきた男がそう言って走り去っていく。
コーラは地面に落ち、そして肩にかけていたバッグはどこへやら。


…どうでもいい 
どうでもいいけど、どうでもいいなんて素振り見せたら怪しまれるか……








『Ladrão!』(泥棒!)
「esperar!」(待て!)






私の声と重なって、待て!の大きな声。
その声と共にさっと横切ったのは帽子を深くかぶって自転車に乗った少年だった。
デリバリーのバッグ持ってるけど、空っぽなのかな。





「お姉さん、そこで待ってて!」







その少年は角を曲がる前に大きな声でそう叫んだ。










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