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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第2章 玉ねぎ







覚との出会いはここ、フランスで。

私はファッションの勉強に。
覚はショコラティエなるために留学しに来ていた。

それももう…何年前?

覚は当時20歳。私は23歳。
今、覚が26歳、私が29歳。

もう6年も経つのか…






出会いはいつも突然だ。







──東京にある服飾の専門学校を出て、
高級婦人・紳士服ブランドのパタンナーとして就職。
2年ほど働いて単身、フランスへ渡って来て半年が経った頃だった。




アルバイト先のビストロのお使いで
野菜を買いにマルシェに来ていた。




赤い髪をした青年が、何やら果物屋のおばちゃんと口論をしていた。
髪の色もだし、肌の色、質感、それからその物言いの感じ。

ドイツ人? ベルギー? イギリス? あ、フレンチくんかな?

国籍とか、全然掴めなかった。
彼のフランス語は訛りがなかったし、とても流暢だった。




「だーかーらー、パッションフルーツだってばぁー、パッションフルーツー。
でさ、もう皺が寄ったのが欲しいの、直ぐにでも使いたいからさー。
どっかにない? 明日まで待てるからお願い!
とりあえず試作の分だから10個もあればいいからさぁ〜」

「ないって言ったらないんだよ、あんたもしつこいね!
どっから来たんだい、不思議な髪の色して目の色も赤いし。
訛りはないけど北部の方から来たのかい?」

「え、え、えー!?北部の方からって、おばちゃん俺のことフレンチだと思ってるってことー?
俺ね、日本から来たんだよー
パリに来てもう半年になるけど、今日初めてこのマルシェに来たよ〜……」






『Du Japon!?』
(日本!?)





思わずそう声に出していた。

だってなんて言うか…
この彼の独特の喋り方が、フランス語にマッチしていて。

ドイツ、ベルギー辺りは想像してたけどまさか日本人とは思えなかった。

どう言えば伝わるだろうか…



アメリカ人があくまでも発音や文法はばっちしなまま、

「いやだからぁ〜、俺は甘い卵焼きが食べたいっつってんのー。
ねー、わかるー? このだし巻きじゃなくって甘くてふわっとしてるけどちょっと硬いやつ。
キメは細かくってさー ちゃんと2つ分金払うからさぁ、お願い作ってよー!」

とか言ってる感じかな。
なんて言うか、言語を自分のものにしてる感が半端なかった。
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