第1章 チェンバロ
ティーラウンジに着いた。
さっき、ブティックの店員におすすめの個室のあるとこを聞いたら
電話をしてくれて予約してくれた。
でも今となっては、個室がとても…
気まずいわけじゃないけど…
なんというか、静けさに吸い込まれていきそうな感じ。
『…翔陽くんはコーヒー?紅茶?何飲む?』
「あ…おれはアイスティーで……」
『甘いものは?』
「とりあえず今はいい… あ、やっぱなんかちょっと食事っぽいもんあるかな…」
『サンドイッチとか、あるよ』
「あーじゃあ…このコブサンドにします……」
『…ん』
アイスティー、コブサンド、
ホットコーヒーとマカロンの生地で作られたベリーのレイヤーケーキ。
『………』
「………」
注文を終えるとまた静寂が降り注いでくる。
『あの、さ』
「えっと…」
何でこういう時に限って、話しはじめが被るんだろう…
『…うん、なに?』
「…あ、なんだった?」
こうやって、2度も3度も。
『…あ、いや翔陽くんが……』
「…先、りさ子さんどうぞ…」
『…んと、そのだな。 本当に私が先に喋っていいのかな』
だって、その、さっき翔陽くんが言ったのは、
言おうと思ってたこと先に言われた、的な意味合いの言葉だったわけで…
…っていうか、こんなの初めてすぎてよくわかんない。
「いや、やっぱおれが先に話す」
『…ん』