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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第8章 空




















「お姉さん、飲みもんとか持ってます?」










どれくらいいただろう、この秋の空の下に。
最初は近くの田んぼで作業してたこの人はあっちへ行き、さらにあっちへ行き。
そしてまた隣の田んぼに移り、Uターンするような感じで戻ってきた。










『ありがとうございます。水と、あとりんごジュースがあります』










水は職業柄もあって大きなボトルで持ち歩くのが日常だ。
それでも今日は結構歩いたから減ったな…










「そーですか… 隣座ってもええですか?」

『え? あ、休憩ですか? もちろんです、どうぞ』










隣と言っても少しは距離をあけてすとんっとその人は座って。
コップ付きの大きな水筒とそれからお弁当包みを手にしてる。









「りんご狩りにでも行ってきたんですか?」

『あ、はい。 とても良い園でした』

「果樹もええですよね  …果樹も、ええよなぁ」










田んぼや野菜の畑はしているけれど、みたいなとこだろうか。
一度は私に向けて、二度目は自身に呟くようにそう言った。










「紅玉はもう出てました?」

『あ、はい。りんご狩りではなかったですけど、購入は出来ました』

「ほっか、今年は紅玉も一緒に送ったろかな」

『…お菓子を作るのが好きな方なんですね』










実家のお母さんとか?兄弟姉妹とか?
遠距離の彼女とか?

紅玉って酸っぱくて硬めで煮崩れしにくくて、ケーキにすると美味しいやつだよね。










「…お菓子も好きやろうけど、アップルパイ作るのが好きいうか。
アップルパイを作ることには手をぬけへん、みたいな子。
いや別にアップルパイ以外も、手は抜かんやろけどなぁ…」

『あはは… 何でだろ、あなたがアップルパイ好きだからとかですか?』

「え?俺? 俺は関係ないで。 ずっと一緒におる彼の好物なんやて」

『へぇ、アップルパイ好きな男の人… コヅケンみたいですね』

「あぁ、なんやそんな風な呼び名があるみたいやなぁ。 研磨くんやろ」

『そんな名前だった気がします』










孤爪研磨… だったっけ?










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