第8章 空
【そこどこ?長野?空ほんときれい。りんご食べたい】
コメント欄じゃなくて個人宛にメッセージを入れとく。
モデルに俳優にバラエティに引っ張りだこのリエーフから数日後に返事が来た。
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リエーフからの返事の数日後。
私はオフを利用して兵庫までふらっと来た。
神戸ではなく、リエーフが教えてくれた地名それからその周辺の長閑そうなところへ足を運ぶ。
カットソーとスウェットパンツと白いAir Force One。
キャップとマスクとサングラス。
小さなリュックには一泊できるくらいの荷物。
でも宿とか決まってないし、泊まるかもわかんない。
けどいつも、オフで知らない町を歩きたいって思った時。
それが田舎な時は、国内外問わず、一泊できるくらいの簡単な荷物を鞄に入れてく。
日本ではあまりないけどヨーロッパ、アジア、南米、北米、オセアニア。
って行ったことあるエリア全部言っちゃってるけど…世界の田舎ではちょこちょこ、ある。
泊まっていきなさい、って言ってくれる親切な人との出会いが。
おじいさん、おばさん、流石に若い男の子はあまりないけど、いろんな年代の女性。
夫婦そろった状態で仲良くなると、その確率はぐんと上がる。
それを期待してるわけじゃないけど
でも私の仕事とか見てくれじゃなくて話していっぱい笑って興味を持ってくれて
下心なしに泊まりにおいでって言ってもらえるのは素直に嬉しいし
オフを味わってる。旅行を楽しんでる。って感じがして好き。
10月上旬。秋晴れ。
歩いてると普通に汗ばんでくる。
カットソーを脱いで腰に巻いてブラトップで歩きたい。
私は肌がかなり白い方で、それもチャームポイントというと可愛らしいけど。
それも売りにしているポイントの一つなわけで。
撮影時以外は基本肌を出さないようにうるさく管理されてる。
一度ギリシャで、肌を真っ赤にして帰ってきたときにかなりこっぴどく叱られて。うんざりした。
あーあ、結局私は私の何を売りにしてこの仕事をやってるんだろう。
いっぱい制限を設けて維持したルックスを売るってなんだか、時代錯誤。
ある程度の厳しさは健康や美しさの維持のために必要だし、それは楽しい範囲でできるはずなことなのに。
太陽も好きに浴びれないなんて、だとか頭の中でぼやきながらりんご園に向かって歩く。