第8章 空
・
・
・
【新ドラマ「泥酔探偵ベロンベロン」の撮影で行ってきた!
空気も空も山も綺麗で、高校のころの先輩に会いたくなった!俺の運命の人!】
撮影を終え、帰り支度をしながらなんとなーくインスタを開くと
モデル友達のリエーフの投稿。
果樹園かな、りんごの木がいっぱい。
リエーフの自撮り、カッコつけ要素ゼロの、明るい表情。
顔の3分の1は見切れてるし。
リエーフは、一緒にいてラクだ。
それと同時に、その底抜けの馬鹿正直さに逆に落ち込んでくることもある。
いいやつだな、この見た目のくせに。
でも、自慢しないわけじゃなくて、でしょでしょ〜みたいなとこはある。
でもそれが何一つイヤミじゃない。
そして、誰かを悪く言うことがない。
俺の方が、とか言ってもそれはただ、言っただけっていうか。
むずかしいな、伝え方がわからない。
わからないけどとにかく、リエーフはうん、いいやつだなって思う。
結構一緒に遊ぶし、アリサとあとヘアメイクの美羽さんと一緒に食事したりとかも結構する。
リエーフの目の色はずるい。
綺麗な綺麗な翡翠色。
以前その目の色、ずるい、綺麗すぎる。と言った。
リエーフには正直に伝えれた。捻くれず意地悪もなく。
そしたらその時の返事は
「でしょ!この眼の色はほんと、母さんにありがとうって感じ!
この眼の色のおかげで俺、運命の人と出会ったその日にキスしたんだよね!」
とかって言ってた。
まぁその運命の人ってのには、彼氏がいることをのちに知って、一瞬撃沈したらしいけど。
それでも相変わらずの調子で想い続けたっぽい。
高校の頃の出来事って言ってたから、その人のことでも思い出したのか。
人気者のくせに、普通に運命の人に会いたくなったとかSNSに堂々とあげるあたり。
やっぱり憎めないな、大物だなって思う。