第1章 チェンバロ
『Muito bom!』(いい感じ!)
「Sim, excelente!」(ほんと、いいですね)
これに決めた。
『翔陽くん、着心地はどう?そわそわする?』
「値段のこと考えなければ全然。むしろ着心地いいっす」
『オーケー、パーフェクト』
オーバーサイズフィットのサンドカラーのコットンシャツ、
立体的な切り替えのインディゴデニムパンツ、黒いレザーのフラットシューズ。
髪の毛はセットするとして… あと一応バッグ?
ラフにドキュメントケースをクラッチ的に持たせたいとこだけど…
ショルダーポーチにした方がよく使うかな。
いや、逆に使わないか。
ドキュメントケースなら、
ほんとにそのままドキュメントケースとして部屋の棚で使用されることも可能だ。
レザーではなくニューラバー製のカジュアルなドキュメントケースを。
色は…黒? カーキ? それとも赤?
…黒にしたくなるけど、なんとなく赤でいこう。
『お疲れさま、翔陽くん。ありがとー楽しかった』
「服着て、脱いでってしてただけなのに、こんな疲れるとは……」
『あはは。 じゃあ、どっかで休憩しよっか』
「お茶するとこってまたこんな感じの場所?」
『…んー、そうかもしれないけど、個室あるとこにしよっか』
「こっ個室…」
『…笑 その方がだらーんってしやすいでしょう?』
「…うん、じゃあそれでお願いします。 っつーかりさ子さんは何も買ってかないの?」
『うん、私実はそんなに買い物興味ない。ここのブランドは好きだけど』
「へぇ…」
『あ、でも今日着ていくドレス、翔陽くんが選んでくれるなら。買ってこうかな』
「…えっ選ぶ!? お、おれが!?」
『…笑 今夜のデートの相手だし?』
「で、で、で、で… デート……」
『ダメかな?』
「…いや、選びます。おれのカードでって言えないのがやっぱ悔しいけど」
『気持ちだけで、本当に嬉しい。 じゃあ、選んでー♡』
わーい、本当に嬉しい!