第7章 ひとりぼっち
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それから倫太郎は焦らすことなくキスをして、
服を脱ぎ、そして脱がせた。
『…え、シャワーとか浴びるものじゃないの?』
と尋ねるわたしに、そんなん決まってないよ、とだけ返事をして。
指や鼻や唇、それから舌を使ってわたしの身体に触れた。
そこから先のことは、よく覚えてない。
でもひとつになった、感覚が確かにあった。
ひとつになるということはひとりぼっちであるということと、
相反することなのかはわからないけど。
たしかに、倫太郎とひとつになった。
気持ちよくって、苦しくて、
そして倫太郎の一つ一つが、愛おしくて。
うん、よくわからないけど、幸せだった。
『ねぇ、倫太郎』
「なに?」
『この部屋にはポピーがいっぱいある。しかも、全部開いてる。
きっと明後日には結構花びらが散り始めて。どんどんしおれてく』
「そうなん?なんか儚いな。 そんなら蕾とればいいのに」
『それも、楽しいだろうけど。 帰ってきたらもう満開のポピーに囲まれてたかったから』
「…ふーん …で?」
『カーテンは風で揺れてて。裸の倫太郎が隣にいて』
「………」
『幸せ』
「…あ、そ。 それで?」
『それだけだけど』
「後ろめたくはないん?」
『後ろめたくはないよ、だって……』
「………」
『倫ちゃんいるし』
「いやなんでそこ呼び方それにしたん?」
倫太郎がいるからひとりぼっちって思わないなんて、
なんだかそんなの、恥ずかしくて。
倫ちゃん呼びにしてしまった。