第7章 ひとりぼっち
「落ち着いた?」
『うん、落ち着いたよ。倫太郎お腹空いてる?』
「ぼちぼち… なぁちょっとこっち来て?」
倫太郎はスマホを机に伏せて置いて、
ソファの横をとんとんってする。
言われたままに、隣に座るけど… なんだろう、近いなぁ。
この距離感がっていうより、部屋で2人きりでっていうのが効果的な演出をしてる気がする。
「今もひとりぼっちなん?」
『え?』
「海で言ってたじゃん、後ろめたいって。ひとりぼっちなのが」
『そうそう、誰かと一緒にいて楽しくて幸せでも、結局ひとりぼっちでしょ?』
「ふーん」
『…違うよって思う?』
「違うよとかそういうのは別に思わないけど。だって感じ方なんて人それぞれだし」
『………』
「でも、俺はひとりぼっちじゃできんこと知ってるよ?」
『バレーボール?』
「まぁ、そんなこと言う人もおるけど。
そういうのやっててもひとりぼっちってことなんじゃないの?りさ子が言ってるのは」
『うん、そうだね』
「やってみる?ひとりぼっちじゃなくなること」
『……それってキス?』
「なんで?」
『…実を言うと、さっき倫太郎とキスした時、ひとりぼっちって感覚が薄れた』
「あ、そうなん?初めて?」
『うん、初めてキスした』
「…え、 あ、まじで?」
『うん』
「キスの相性が合ったのが初めてなんじゃなくて?」
『うん』
「あ、そーなん。まぁいいや、そうだなキスもするしキスじゃないことも、俺としてみる?」
『…それってつまり』
「そうそう、俺、別に人のことなんて基本何でもいいんだけど。
なんか、折角幸せ思ってるのに後ろめたいとか、思ってるのもったいないなっていうか」
『………』
「いや違うわ、普通に好きになってた、りさ子のこと」
『…ひぁ』
「だから、抱きたいなーって思うし、ひとりぼっちなんて言わせたくないな、とか思ったけど」
『………』
「これ、無理矢理やったり、流れでやってしまったら余計にひとりぼっち感でるからな、
めんどいけど聞いとかないとなって思って」
『なんだそれ』
「………」
『してみたい、よ。私も倫太郎のこと好きなのかもしれない。恋とかしたことないからわかんないけど』
「あ、そーなん、なら、やってみよ」