第7章 ひとりぼっち
「なんかもうさっきからわけわかんないんだけど… とりあえず座りなよ」
そう促されて隣に座る。
「いや、かごは下ろしなよ」
『あ、うん』
「何飲む?酒飲める歳?いくつ?」
『20です、でも水で結構です』
「ビールかワイン、どっち?」
『え?…じゃあワインで…って、え?』
「白?赤?」
『白で』
なんか勝手に選択肢持ってかれた感あるけど…
「えっと、りさ子でいい?」
『あ、はい』
「敬語はいらんよ、めんどくさい」
『うん、わかった』
「じゃあまず、チベットスナギツネって何?」
そうしてチベットスナギツネについて覚えている
与えうる限りの情報を提供する。
「コメントしづら……まぁ、いいよ。はいこれ、とりあえず食べたら?
ドラゴン、火が出なくなってまうよ」
『…火?』
「いいから、食べ」
『うん、じゃあ、いただきます。 えっと、ありがとう、倫…太郎…ちゃん?』
「…なんでそうなるん 空腹でおかしくなってんの?」
お皿に適当によそってくれたサラダとかつまみ的なのをいただく。
『倫太郎…ch』
「いやそれ定着するのやめて。そんなことなるならもう呼び捨てでいーよ」
『倫太郎はナンデワタシをココにイレテクレタ?』
「え、なんで今カタコトイントネーションになった?ほんとわけわかんないな、アンタ」
確かになんでか外国人みたいなイントネーションになった。
倫太郎の独特なイントネーションにちょっと心を持っていかれてたのもあるかもしれない。
別に独特っていうほどじゃないのかもだけどなんていうか、
むず痒くなるっていうか、でも気持ち悪い方のそれじゃなくって、
気になるっていうか。耳触りが独特。
「それはもう、アンタ、謎が多すぎるから」
『謎』
「その空っぽのカゴはなんなん?」
『あ、これか』