第7章 ひとりぼっち
「入れなかったの?一緒に入る?」
『いえ、結構ですそんな……』
ぎゅーーーーるるるるるるぅーーーぐるぎゅうぅぅうぅぅぅぅーーーーー
『………』
「…ふはっ 今の何? ドラゴンでも飼ってんの?」
『…やば、ほんとお腹すいた』
一刻も早く何か食べたい。
ここ来る途中にあったなんでもいい、どこか入って食べよう。
「団体なんよ、結構な。 一人増えたくらい大丈夫だから、ほら入るよ」
その人はさっと私の手をとる。
そして扉に手をかけたまま止まり、こちらに顔を向ける。
「俺、倫太郎。あんたは?」
『りさ子』
「中におる集団は俺のバレーのチーム。RAIJINってとこ」
『バレエ……踊るんですか?』
確かにレオタードとか似合いそう。
姿勢の良さも納得。
「は?そっちちゃうよ、バレーボール」
『あ、そっちか』
「なんなんほんと、意味わからん。まぁいいわ。中で話そ」
そのタイミングで店の人が扉を開けに来て、
倫太郎という人は私の手を繋いだまま黒い塊……団体席の方へと歩いてく。
なんか黒い服着てる人が多くて、黒い塊に見える。
っていうか、チーズやトマト、肉や魚のいい匂い。
やば… よだれ……
「スナ!遅れた上に女連れかよ!聞いてないぞー!」
「あ、どうも。お疲れ様です」
スナ?
スナ………あっ!
倫太郎という人は、ソファの席に座ってその隣をぽんぽんって叩く。
『スナ……』
「あぁ、角名。俺の苗字 …は?」
『チベットスナギツネ!』
「今なんて言った?あと聞こえてないよねこれ、俺の言葉」
図鑑で見た!
なんとも言えない風情。
キリッとしてなくもないんだけど、妙な脱力感が印象的だった。
この人、チベットスナギツネに似てるんだ。