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真っ白でいるよりも 【ハイキュー】

第6章 迷子









「それじゃ、また明日電話して。空港からでも」

『はーい』

「じゃあね、りさ子。愛してるよ」

『うん、じゃあまた明日ね、とーる』






明日卒業式の後、家に戻って用意して。
夜のフライトでオーストラリアへ発つ。

オーストラリアはバスキングがそこそこ盛んだし、
それにあのとーると前に見たInstagramのダンサーが冬にあげた動画は、
どうもオーストラリアで撮られたものらしくって。
そのダンスはもとより、通行人であるお客さんの雰囲気にかなり心が躍った。
行ってみたいって思った。

だから、最初の地はオーストラリア。
ワーホリビザを取ってくか迷った末に、とっていくことにした。
だから丸っと1年、もしかしたら2年。オーストラリアへ行く。



余談になるけど、とーるはその女の人に再会したんだよ。
ずるいよね、ずるいから、覚えてない。
いやムカつくほど覚えてるけどどこでどうやって会ったかとか思い出したくない。

でも一つだけどうしても思い出したくなるのは私の話をしたとーるに
「嬉しいな、そんな風に見てもらえるなんて。いつかその子の歌で踊れるかな」
って言ったってこと。

覆面で通してたらもし出会えても気付かないか、って笑ってたって言ってたけど。

きっと分かるもん。
その人はバスカーじゃなくて普通に大学生らしいから
バスキングしながら会えるかもとは思ってないけど、でもきっと、いつか、会いたい。





そうそう、バスキング一本でどうにかできなかった時のために、
って思ってとりあえずワーホリビザ取るって言ったら

とーるは
「それならバイトすればいいじゃん。オーストラリアは物価高いんだし、
上手くやれば貯まるんじゃない?」
そう提案してきた。

そして私はそれもそうだな、とまたもとーるの意見を受け入れた。
変なの、って思う。でも仕方ない、そう思うんだもん。






今はね、2018年の春。
出会ったのが2015年の秋。

あと2年したら東京オリンピックがあるんだって。
そこでね、とーるは「全員倒す」んだって。

『全員ってなに?』って聞いたけど答えてくれなかった。
とーるはバレー大好きだけど、そんなに色々を話してはこない。

飄々と一見柔らかそうにしていながら、
ギラギラとメラメラと、
誰よりも熱いものを燃やしてる。









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