第6章 迷子
「…あ、これもしかしてあの子?」
『だと思うんだけど、とーるはどう思う?』
「画面を通してだけど、同じ空気が漂ってる。きっとあの子だよ」
『カリフォルニアにいるのかな?』
「カリフォルニア?」
『コメント欄でね、この子はどこにいるんだ?みたいな。
景色がカリフォルニアっぽいよって』
「………間違いない、あの子だ」
なんでかな、カリフォルニアってことで、とーるは確信を得たみたいだった。
よくわかんないけど、別に聞かなくてもいっかと思って。
やっぱりそうだよね、って言って。
一緒に数えるしかないその人の動画を繰り返し観た。
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朝。
ベッドで迎えた朝。
ソファで一人で迎えるはずだったのに、ね。
未成年には手を出さないはずだったのに、ね。
とーるも、私も裸だ。
ヘッドボードにはコンドームの包みが置いてある。
開封済みのが、2つ。
とーるのセックスはなんだろうな…
初めての境地だった。
私を知ろうとしてくれてるのがよく分かった。
たっぷりとたっぷりと私を気持ちよくした。
それから、切り替えスイッチがあるみたいに、
ちょっとごめんね、って言って激しくなった。
全部がよくて、何がなんだかわからなくなった。
私って今までいろいろ選んできたんだ。
身体を売る相手だって選んできた。
いろんな流れも選んできた。
そりゃ今回、このアルゼンチン行きは選ぶ選択肢はなかった。
行ってこいの一言でくることになった。
それでも、旅はしてみたかったし、
パタゴニアは憧れの土地の一つだったから、
別に嫌じゃなかった。むしろラッキーって思うくらいだった。
とーるとの関係は?
私たまに、わかんなくなる。
なんでこうしてるんだろう?ってなる。
なんで私こんなにこの人の前で曝け出してるんだろう?って。