第5章 未来
「これ、開けてみて?」
今度は小さな紙袋。タータンチェックの、あの百貨店の。
侑くん、手に持ってたのは頂き物じゃなかったのかな。
今日、いつどのタイミングであんなにかってきたんだろう。
でも、誕生日だもんね。
買い物したくなるよね。
…でもどうして私に、とか思うけど。
袋の中には小さな箱。
中には揺れるタイプのシルバーのピアス。
華奢な感じの線の細いデザイン。
箱にも中に入ってたカードにも、
loinのロゴ。 … 女優さんの手がけるブランドだ。
SNSでみて、綺麗だな、っていつも思ってた。
『…え、侑くん。ちょっとよくわからない』
侑くんの誕生日にどうして私がこんなに高価な…贈り物を。
そもそもワンピースだってそれなりのお値段がしたはずだ。
いや値段は差し置いても、なんで私がこんなに受け取る側に?
それにどうしてこんなに…私の趣味がわかるの?
「え!どーゆー意味?それ、りさ子ちゃんぽいなぁおもたんやけど!」
『………』
「なぁ、つけてみて?見たい!」
『………』
「…あんな、俺な、思ってん。あ、せっかく大好きな子と一緒に過ごせることになったし、
自分のもん買うんちゃうて、その大好きな子になんか買いたいな、て」
『………』
「ほんでな、そのワンピース見つけたやん?リボンついとるやん?
あ、じゃありさ子ちゃんをプレゼントしてもらおう、って思ってん。
やからな、それりさ子ちゃんにプレゼントとみせかけて、俺のためやねん。
俺が俺に買ったプレゼントやねん。つけるんは、りさ子ちゃんやけどな!」
『…そっ …か。 うん、ありがとう。嬉しい』
「あーーーーーーあかん。 その顔もその言葉も可愛すぎる!」
よくわからない、また侑くんのペースに乗せられてしまってるけど。
でも。 ありがたく受け取る他ない。
それに、だって、ね。
これからも一緒にいるんだし、それならいくらでもお返ししていける。
そうそう、アイス屋だって。うん。
そんな風に話してたし。