第5章 未来
そのままぎゅうううってして、
それからキスをしてくれるんだけど。
紙袋が脚のいろんなとこに当たる。
「そーやりさ子ちゃん、これ」
身体を離し、やっと紙袋を床に下ろす。
「…ってどれからにしよかな。 …やっぱこれやな」
『…?』
紙袋の中から、大きめのやつを手渡される。
どういうことかな?と受け取ったままぷらぷらさせてると、
また侑くんの手の中に紙袋が戻る。
「これ、着てくれん?」
中から出てきたのは紺色のワンピース。
バックリボンになってて、背中がそこそこ見えるやつ。
紙袋にはjounal standardの文字。
「自分のもの見にちょっと寄ったらな、これが目に入ってん。
かわええなー思って!あ、今日着てもらおう思って買うてまった!」
『…えーっと …私ね、まだ今日は何もプレゼント用意できてないの』
「は?そんなん当たり前やん!一緒に過ごす予定なんて昨日の深夜までなかったんやもん。
メシ一緒に食えるだけで嬉しいで。 それにな、これ、ほら」
リボンついてるんやで、と言って背中側を嬉しそうに見せてくる。
「なんか、ええやん?プレゼントみたいやん」
『…え、 』
そんなこと言われたら着づらいな…
それに、これ今私が着けてるブラだと背中開いてるとこから見えちゃうだろな。
「なに?恥ずかしいん?着替え手伝おか?」
『えっ?ううん、いい!』
「ほんなら着替えてきてなー 俺いっぺんさっとシャワー浴びてくるわ。
あとで一緒に風呂入ろな?」
『へっ? あ、うん? 着替えてくる……』
ぽんぽんっと小気味良く会話の流れで予定が組まれていって
私はそれにまんまとのせられる。
そもそも昨日一緒に治くんのお店を出たのだって、
こんな感じのノリだったなぁとか思いながら服を脱ぐ。