第5章 未来
「おーりさ子ちゃん、なんや付き合うてるって?」
カウンターの椅子に腰掛けた私にキッチンから治くんがいつもの声色で聞いてくる。
『…はい、お付き合いさせてもらう運びとなりました』
「なんそれ 笑」
『いやなんていうか…あんまり急で、かしこまるしか…』
「…急?」
『急 …え、急じゃない?』
「そら、急かもしれんけど。そういうこともあるやろ」
そっか、あってすぐに結婚したいって思うこともあるんだもんな。
治くんは何やら手を動かしながら穏やかに聞いてくれる。
「でも、恋をするのもまどろっこしい言うてたのにな。
そう思うと確かに急やな 笑」
『…なんか逆にさ』
「んー?」
『侑くんがもじもじっていうか、ちょっとこう、
時間かけようとしてくれてたのがもう、まどろっこしくなっちゃって』
「お。まさかりさ子ちゃんからいったん?」
『………』
「そら傑作やな、ええやん。おめでとうな。
ツムは腹立つことも多いけど、一途やし浮気とかせーへんちゅーか出来へんから。ええと思うで」
『…うん、ありがとう。治くんがキューピッドみたいな』
「いや俺なんもしてへんし」
『…こうやってさ、人が集まれる場所を持つのってすごいことだなって思う』
「おー、そうか?」
『うん。ここにくれば治くんがいる、っていうそれもすごいし』
「ぉん」
『そういう人達が集まって、こうやって出会ったりするのもすごいし』
「………」
『すっごい素敵で素晴らしいことだと思う。
仕事としてもだけど、もっと大きくみて、なんだろう。
すっごい素晴らしい人生だなって』
「…また大きくでたな」
『…そだね、ちょっと大きすぎか。でも、そう。そんなわけで、やっぱりありがとう』
「いえいえどういたしまして。また梅干しの子がこっち来たら会ったらええな。
ツムの彼女や言うたら喜ぶやろな」
『えーでも……』
「お?ヤキモチ?」
『いや、逆に… 素敵な子だから、大丈夫かな。浮気』
「いやツムは浮気でけへんから。そこは信じたって」
『いや、逆に…』
「逆? え、逆? マジで?」
『うそうそ。じょーだん。でも、絶対好きになっちゃうんだろうな〜
え、っていうかKODZUKENとも会えたりするのかな〜』
「え、研磨くんのファンなん?」