第5章 未来
「さっき言おうとしたこと言うわ」
『…さっき?』
「とっておきのこと。あんな、俺とのエッチは、とろとろになんで。
やからな、あれや、あっという間に過ぎるで。1時間でも2時間でも、半日でも」
『…いやでも私』
「なに?」
『セックス、好きじゃない』
「はー?そんなん言う人のキスちゃうかったで?」
『………』
それは、確かに。
あんな風なことしたのも初めてだし、さっきのキスは気持ちよかった。
あんなの初めてだった。
「ほな、いこか」
『…どこに?』
「やから、りさ子ちゃん家に。上がってって言うてたやろ?」
侑くんの家には行かないしても、
ここまで送ってもらったしお茶くらい出すべきか。
『じゃあ……行きますか』
マンションの5階にある私の部屋に向かうためエレベーターに乗り込む。
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『…んふぅッ………』
エレベーターの扉が閉まるや否や鏡に押し付けられキスをした。
あっという間の5階への移動がさらに短く感じた。
キスだけで身体が火照る。
「その、顔。なにがセックス好きやないや。むっちゃ物欲しそうにしてるやん」
『………』
さっき上がってって?ってこっちが聞いてた時は、あんなにあどけなかったのに。
今、すっごい勝気で… その感じに身体が余計に疼く。
…なにこれこんなの初めて。
玄関に入るや否や服を脱がされ、
キスが降り注いだ。
俺のことベッドまで案内してや、キスしながらな。
って額を寄せながら色っぽく言われて、貪るように口付けながら後ろ歩きで案内した。
そこからのことは……
何がなんだかわからなかった。
全てが初めてで。
全てが、今までと違いすぎて。
侑くんは勝気な感じでオラオラな空気を出しておきながら、
ひとつも独りよがりじゃなくて。
どこまでも献身的で、とびきり丁寧なセックスをした。
そしてそこからたまに顔を覗かせる、
子供っぽいような、制御の効かなくなった攻めがまた…
私の身体を悦ばせた。
2度も、3度も。
気付けば外は暗くなっていた。