第5章 未来
『お い し い…!!』
「やんなーうまいよなー!胡椒がまたええねんなーそれ」
塩アイスにゴロゴロしたクリームチーズが入ってる。
黒胡椒がトッピングされていて、それがまたアクセントになってる。
変わり種のように見せかけて正統派なこの感じ、イケてる。
「ほいこれも食うてみ?」
掬って口元に差し出してくれる2種類もすっごいおいしい。
ザクザクガリガリ… ピーカンナッツ… 香ばしい。
かぼちゃのほうもさくさくガリガリ… コーヒーがアクセントになってる。
『ほんっとに美味しいね。食べるアイスって感じ』
「は?何言うてんの、りさ子ちゃん」
『なんだろなーなんだろなーえーー美味しいーー♡』
「…ぶっ 笑 なんなん、めっちゃかわいいやん!」
『えっ!ちょっと今馬鹿にしたでしょ』
「え?なんで?してへんよ?本音やで」
『…ふーん』
「ふーん、て! なぁりさ子ちゃん。俺な、軽く見られがちなんやけどな」
『…?』
「こう見えて一途なんやで。あとな、ほんまにええな、思う子としかこういう風に出歩かんで」
『………』
そう言われてもな、さっき会ったばっかで軽ーく誘われてるし。
プレゼントも私に選ばせてるし。
「やからな、あーええな!思ったら、すぐ行動すんねん。
あ、でもな、サムの店で話しとった梅干しの子にはな、初めて会うたとき
はしゃぎすぎて、楽しすぎて、名前もなんも知らんまま終わってしまったんやて。
まだ17やったしな。まぁ、そのあと会えたから良かったんやけど」
『………』
「やからな、今度は色々聞いてんねん。ちゃんと学んでんねんで」
『…今度はって』
「あの子以来やで、こんな風にええな思て声かけたんも、デート誘ったんも。
このアイス屋女の子と2人で来たんもりさ子ちゃん2人目やで。
あの子と来たんはもうな、未練なくなってからやで、好きな子と来たんは初めてやで?」
『………』
「…って、あーーーー!!前に好きだった女の子の話とかこんな聞きたないよな!
うっわ、やってもーた!!ごめん、そんなつもりやないんやって!!」
いや別に、なんとも思ってないけど。
それより、アイス食べてください。