第5章 未来
・
・
・
車に乗ってアイス屋さんへ。
「りさ子ちゃん寒ない?」
『うん、今日陽射しあったかいね。運転手さんには眩しいかな』
「そらこの時間西向きは眩しいけどな、そんなん普通やでな」
もうすぐ3時半。
サングラスをかけた侑くんがニコっと笑う。
『…3時半か』
「サムの店出たんが1時過ぎやったでもう、2時間ちょい経ってんで。
ちょっとさっきの店で時間とってもーた、ごめんな」
『…うん、それは良いんだけど』
なんか、時間あっという間だったな、とか。
「着いた」
『へー、初めて来た』
「自然食品ってあれやろ、色々入れんと作るんやろ?
サムが使てるような感じやろ?」
『あーうん、そうかも。色々入れんと…それも一つの条件かな』
「…ここも手作りやし、サムも好きなとこやし、りさ子ちゃんも好きやと良いけど。
自然食品いう感じかはわからへん」
『え? あ、そういうのそんな気にしないから大丈夫だよ。ありがとう』
そう伝えるとほっとした顔してにこって笑う。
アイスクリームの種類は多過ぎず、
でも一つ一つが捻りの効いた感じで迷う。
でもこのお店の1番の人気で定番らしく
なのになかなかパンチの効いた組み合わせの
塩とクリームチーズをコーンで。
侑くんはバタースコッチ&ピーカンナッツとかぼちゃのダブル。
かぼちゃの方もただかぼちゃじゃなくって、絶妙なのが色々入ってるらしい。
人が選んだフレーバーの説明を思い出して口の中に唾液が溢れる。
ワッフルコーンもお店で焼いてて、うん。ほんと、美味しそう。
「…食うの好きなんやな」
『…え?』
まだアイスクリーム受け取ってないのに、そんなこと言われた。
…っていうか、お代!
『侑くん、払っちゃったの?』
「ええやん?したらまた来てさ、次はりさ子ちゃんが払ってや。
今日のうちに返そうとかせんでな。次にしよな」
『………』
お店の人が「宮さん、いろいろお上手〜」なんて茶化しながらアイスを手渡す。
侑くんは「せやろ?店の販促にもなって、俺、できる男やろ?」とか言いながら受け取って
私に手渡してくれる。