第5章 未来
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「ほい、着いた〜」
侑くんって… 意外性があるっていうか。
なんだろう、すっごい雑な運転しても、あー侑くんっぽいって思ってたと思うんだけど。
運転すっごい上手で、同乗者に優しい運転だった。
隣にいて安心する。 それが当たり前であって欲しいけど、そうでもないからな。
…侑くんが寄りたかったお店というのは、
インテリア系のセレクトショップ、かな?
「…ちょっとな、ブランケットいうん?ソファんとこに置いときたいんやって」
『…へぇ』
「一緒に選ぼな」
『いえ、侑くんの部屋知らないので』
「………それもそうやな。 ま、ええわ。目星はついてんねん」
常連らしく、スタッフが気さくに挨拶してくる。
でも私がいるからかお互いにさっと会話を終わらせて、
スタッフは私に会釈をしてどこかへ行った。
「この辺のやつから選びたいんやて」
『おー』
なんとなくペンデルトンとかそういう、はっきりした色柄かなって思ってた。
ネイティブインディアン系も、似合う。
けど侑くんが指したのはクリッパンのブランケット。
うちにも3枚ある。
涼しくなってくると、ベッド、ソファ、窓辺の三ヶ所に置いてる。
ほんとはベッドとソファにあれば十分なんだけど、
一枚は柄に惹かれて購入してしまった。
エコウールで丁寧に織られた、質の良いブランケット。
「無地ちゃうけど、無地っぽいのにしよかな思てんねん」
『うん』
うちも2枚は無地じゃないけど無地っぽいやつ。
侑くんは一生懸命選んでる。
私も見たことない柄とかあって、結構一生懸命見てしまう。
「…なぁ、りさ子ちゃん」
『…んー?』
「3つ選んだ。どれがすき?」
侑くんの前には3種類並んでる。
ちょっとドットっぽいナットって織。ダークグレー。
Peakっていう細かな菱形の織。ネイビー。
Gutrっていうのはグレー地に山吹色の太いラインが端っこに一本はいった織。
『…色は、それで決まりなの?』
…侑くんが選んだ3種類のうち2つは
うちにあるのと色まで一緒。