第5章 未来
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「そこ車停めてるんやけど、何で行きたい?」
治くんのお店を出て歩き出す。
『侑くんの都合のいいのでいいよ。
車で行かなくても平気なの?また取りに来るのとか』
「そんなん一緒にまた来たらええやん、そんで俺が送ってったらええやろ」
『…へぇ』
「じゃあ、折角やしそうしよか」
『うん、いいよ、そうしよう』
「なら歩きと電車やな。電車で行くんめっちゃ久々や、ええな」
『それは良かった』
「なぁ、俺りさ子ちゃんのこと何も知らんやん、まだ」
『うん』
「聞いてくな、いろいろ。ええ?」
『はーい』
「仕事何してんの?」
『食品会社のマーケティング』
「へ、へー…」
『…笑』
「どこの会社?なんてとこ?」
『小さなとこだよ、知らないと思う。治くんは知ってたけど』
「へ、へー…」
『自然食品、っていわれるやつ。 …はい、盛り上がらないから次〜』
「部活やってた?」
『高校の時? 野球部のマネやってた』
「…まどろっこしいわ〜、思いながらスコア書いてたん?」
『あはは!もーいきなり挟んでこないでよ、まーそうかも。
でもそれなりにのめり込んだし、感動したよ』
「そらそやろ、マネやってくれとんのに感動してくれへんとか悲しいわ」
『…でもふとした時に思ってたな〜、あー遅いなーって』
「未来っていつのことなん?もう一瞬先は全部未来やん、どこのこと指して言うてんの?」
『………』
そうだなぁ…
『未来ってなんてゆっくりくるんだろ、って思わなくなるその時』
「毎日が早いな、楽しいなってなったらええってこと?」
『…?』
「楽しいと早いやん、ちゃう?」
『…あー、そうなの、かな?』
「あ、ちなみにアイス屋行く前、寝かさへんで」
『え、寝るとこ行くんじゃないの』
「それでもえーなーっておもてたけど、何や理由聞いたらちゃうわって思った」
『………』
「…いや、寝るとこで寝かしてもらわれへんくてもええんなら、いくで?」
『どういう意味?』
「は?なんなん、なんでそんな感じなん?そんなん、セックスして寝かせんよゆーことやろが」
『…あぁ 』
セックス。
退屈で、ほんと、いつになったら終わるの?っていう、あの、行為。