第5章 未来
・
・
・
「ごめんな、お待たせ」
『遅いよ〜 ぺこぺこ』
「ほれ、梅干しの子の漬物盛り合わせもサービスしたる」
たくあん、ぬか漬け(茄子、かぶ、人参)、高菜漬け。
『…いや、梅干しの君は一体何者なの?』
あったかいおにぎりと豚汁でお腹を満たし、
お漬物も美味しくいただいた。
「ふつーの一般人やで、かわいいかわいい、
普通やないのに普通な子。 めっちゃ、好き」
『治くんはまだ、好きなんだね』
「せやな、俺はまだ好きやな」
『治くんいまいくつだっけ?』
「もーすぐ25になる」
「俺もな!」
『そうだよね、双子だもんね。もうすぐっていつ?』
「あした」
「明日!」
『おー… それは… おめでとう?』
「なんそれビミョーでこたえづらいわ」
「ほんまやし!さっきからふーんとかなんか、ちょいちょい冷めてんねんな」
『や、そんなことないんだけど。全然、冷めてなんかないんだけど』
「ほんで、りさ子ちゃんはいくつ?」
『私は28になった』
「年上!ええな! なぁ、サム、ほんまにこのあとデートすることなってん」
「あ、そーなん? そら良かったな」
『でもアイス屋行くまで何する?』
「何したい?」
『んー寝たいけど』
「え!えーの?ほんなら寝よか、どこで寝る?」
「いやあかんやろ、何言うてんのりさ子ちゃん」
『ただ、欲望を。 だって、時間が経つのをただ待つなんてまどろっこしい』
「欲望て!何の欲?」
「うっさいわ、ツム。すぐ話横道それさせんのやめろや」
『何の欲って眠る欲だよ、睡眠欲。 食べる、寝る。
その2つの欲と、排泄することが滞りなくされてれば良くって、
それからその3つをしてるときだけ、時間がゆっくりじゃなくなる』
「めっちゃ極端なこと言うてるけど、欲はもう一個あるの忘れてんの?」
「いや、だからツム、そこやないやん。お前は性欲て言わせたいだけやろ、だまっとれ」
「………」
「どーゆことなん、りさ子ちゃん。他のときゆっくりなん?
ゆっくりなんいやなん? 何やツッコミどこ多すぎて何から聞いていいんかわからん」
治くんがゆっくりと落ち着いた声で、質問を並べる。