第4章 写真
「…や め ろ」
『………』
「………」
『やめちゃう!やめろって言われたらやめちゃうかも!』
…バカか。 しかも次言いにくいわ。クソ。
この人のふざけ具合は本当、厄介だな。
『博物館に行く時は、おにぎり持ってこー』
「………」
『ツナマヨ、鮭、昆布、高菜、すじこ、おかか… 揃えてさ… どれがいい?って聞くの』
「………」
『白布くんはどれが良い?』
「高菜。 …にしらすが混ざってるやつ」
『あん、キュンとする』
「お前ほんと、やめ……」
『♡』
「〜〜〜……」
やりづらい…
『でも、白布くんの13年の片思いの相手があの子だったなんて。
医大生だってことは別れ際に話したんだけど』
「………」
『あの子に片想いを続けたなんて、って惚れ直したよ』
「………」
『これは、残念ながらきっと叶わないけど』
「………」
『この3人なら幸せに3Pができるのにね』
「お前、黙れ。 やめろ。 喋るな」
『…♡』
「…ハァ やりづれー …けどさ」
いやほんと、あれ?いつ再会したんだっけって錯覚に陥る。
今日、大学であったんだよな?
一年振りに。
こんな普通に、これから一緒に暮らしてくって。
わけわかんない話しすぎて、ともすると1年間の距離を、時間を忘れてる。
りさ子さんといると
ずっとこんな感じだろう、これらかも。
いつだってどこかふざけてて。
でも医者としての素質はかなり期待されてて。
この人といることで学ぶことも多いだろうし。
空想も妄想も必要ないな、これからは。
俺たちが描く俺たちの、その姿はきっと…
「妄想でもなく、想像でもなく、未来かも… とか」
『………』
「一緒に暮らしてくなら、さ」
『……ということはつまり』
………。
『3Pも未来…!』
「…前言撤回。やっぱ妄想と空想で」
ぶっ飛んだ妄想と綺麗な空想を
頭いっぱいに広げるお前の一生を、
俺もそばで過ごせたらとか。
再会して復縁してすぐこれとか、馬鹿らしいけどさ。
俺、どうしても一途らしいから。
仕方ない、としか。 括れない。