第4章 写真
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財布と携帯だけ入れたウエストバッグを斜めがけして、
りさ子さんのお姉さん家へ。
何となく、歩いて向かう。
『…そういえば、さ』
「………」
『その、インドであった日本人の女の子』
…正直、いろいろ頭の中ごちゃごちゃになるから
その子の話は勘弁してほしい。
『私が休学してきてるって言ったら、
“いいなーそんなお医者さんに診てもらえたら嬉しいだろうなぁ” って。
言い方は全然違うけど、白布くんと同じようなこと言ってくれた』
「………」
あいつなら言うだろうな。
とりあえず、じゃなくて本心から。
『あとね、東北大の医学部に大切な友達が通ってるって言ってたよ』
「 ! 」
『…ニヤニヤ』
「お前、その顔やめろ」
『おまっ お前ですって!』
「もー、さん付けもやめるし。お前って時はお前だ、これから」
『…やー横暴ー』
「………」
『ねぇ、でもそれはさ、私の勘は合ってるってとって良いんだよね?』
「…んだよ、最初から分かってて話したの? 作り話?」
『ううん、全て真実。 いやぁ同じ女の子をすきになるなんて…♡』
「………」
『君は私の恋人且つ……』
「………」
『マイ ベスト フレンドだよ』
「やめろ」
『ねぇ、白布くん、前髪もう揃えちゃってさ…
口元隠したら、結構、狗巻くん感出るかもね』
「………」
『でも声は蛍くんっぽいよね。 あーアニメ化しないかなー』
「…月島はそういえば」
『博物館勤務、だよね!行かなきゃー 蛍くんに案内してもらいたい♡』
「お前、早々その、他の男に♡つけるのやめろよ」
『だって、彼は特別可愛いから仕方ない。 あのルックスにあの声であの性格って。
それから、なんと、博物館勤務って。ちょっと… 先生、いろいろ診てあげたい♡』
「…同棲の件は無かったことに」
『あーんごめん、悪ノリしすぎた』
「いや今の本音だろ、ばか」
『まー本音だけど、妄想にすぎないさ。現実は君だけで十分。
無理って言いながらも結構、性欲がある、
知的でツンデレで、ベビーフェイスな白布くんだけで。 …現実は』
「はっ!?」
いきなりぶっ込んでくるの、ほんとやめてほしい。