第4章 写真
『うーん、ムラムラしちゃってそれどころじゃない』
お姉さんにメールを送り終えたりさ子さんが
パソコンを開いて写真を探してる俺を覗き込む。
するりと腕が首に回され、唇が重なる。
1年分の欲が溢れ出す。
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『…実習、卒業試験、国家試験』
「………」
『共同生活、性生活』
「………」
『全部うまいことできるかしら』
裸の身体を押し付けるようにして俺に抱きつきながら、
りさ子さんが呟く。
『6年になるタイミングで同棲始めるって、結構な思い切り』
「…6年になるタイミングで休学するって結構な思い切り」
『…それは、自分の面倒は自分でみる。学費とか、そういう仮は返します。っていう大前提だから』
「同棲は? 自分の面倒は自分でみる感じなくなる?」
『ただ、同棲ならいいかもしれないけど、ほら私たち医大の6年生だから』
「…まーな。 別に嫌ならいいけど」
『ううん、嫌じゃないけど、白布くんがいいならもう今日この後荷物持ってくる』
「…そんな簡単?」
『旅に持っていってたバックパックと、あと教科書が詰まった段ボール。 …以上』
「タクシー捕まえれば簡単か」
『うん、台車で運んでもいいけど』
「俺ん家からどのくらい?お姉さん家」
『歩いたら30分くらいかな』
「………微妙だな」
『っていうか白布くんの親御さんに同棲の相談は?』
「…あー 母さんは ちょっとな…」
前俺が好きだった子のこと好きすぎるんだよな。
変なプレッシャーあるわ、ほかの子紹介するのとか。
「…じゃあもう、あれだな。
さっさと出かけて荷物取りに行って、ついでに どっちもの家寄ってくか。夕方には誰かいるだろ」
『そーねー でもうちの親はもう勝手にしなさいモードだから。
医者にさえなれば良いらしいから。 別に今日寄らなくても』
「いや、後から面倒なのやだからいく」
『はーい』
「…じゃあシャワー浴びて出るか」
『ううん、その前にもっかいちょーだい。うんとねっとりしたやつ』
「…は? 俺さっき結構使い果たした」
『えー… 1年ぶりなのに』
「1年ぶりだから、だよ。すげー… まぁ良いわ。 シャワー浴びてくる」